オムロン VS. タニタ 体脂肪計の商標 – 弁理士さわべゆみこブログ – さわべ特許事務所

知財高裁でオムロン社の主張が認められ、タニタ社の商標登録が無効と判断されたそうです。
http://www.asahi.com/articles/ASJ2K5H7JJ2KUTIL03L.html

商標公報を確認してみると、下記の2つの商標登録が存在します。

商標登録第5160747号
商標権者:オムロンヘルスケア株式会社
登録日 :平成20年8月22日
指定商品:第10類 体脂肪測定器,体組成計
商標  :DualScan(標準文字)
類似群コード:第10類 10D01

商標登録第5576127号
商標権者:株式会社タニタ
登録日 :平成24年11月16日
指定商品:第9類 脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計
商標  :デュアルスキャン/Dual Scan(2段)
類似群コード:第9類 10C01

ここで注目なのは、指定商品の類似群コードが「10D01」と「10C01」で異なっているため、特許庁の審査では、類似しない商品について使用する商標と判断され、2つの商標がそれぞれ登録されたのですが、知財高裁では、”医療用と家庭用の性能は近づきつつあり、誤認の恐れがある”として、タニタ社の商標を無効と判断したようです。

商品開発時や当初の販売時には、その商品がどれだけ広がりをもって売れていくかは分かりませんから、商標を使用する商品をどの範囲にして商標出願をするかは、なかなか判断が難しいものです。

しかし、もしオムロン社で出願当初から家庭用に展開する可能性があれば、タニタ社の指定商品についても指定したり、また後から新たな商品の範囲について別に商標出願してもよかったと思います。

これから商標を登録しようとする企業の方々は、将来の事業の展開を考慮して指定商品や指定役務を考えてみてはいかがでしょうか。
また、既に商標登録している企業の方々も、出願時に指定した商品や役務が自社の商品やサービスをきちんとカバーしているか、年に1度くらいは確認してみることをお勧めします。
こまめな知財の棚卸しとメンテナンスによって自社ビジネスを守ることができ、費用も低減できると思います。

さわべ特許事務所
http://sawabe-pat.com

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