不正取得された営業秘密の海外での使用:不正競争防止法

企業の営業秘密である設計図を開示し、海外で測定器を製造した疑いで会社役員を追送検したと記事は伝えています。
https://www.asahi.com/articles/ASLDL3R5PLDLULOB00S.html

平成27年改正で新設された、刑事罰規定(不正な手段で取得した営業秘密を海外で使用する)を初めて適用することになるそうです。

罰則は、国内であれば、10年以下の懲役若しくは2000万円以下の罰金、 法人両罰は5億円以下の罰金なのですが、海外での使用等は個人が3000万円以下、法人は10億円以下の罰金と海外での使用等のほうが重くなります。
日本だけでなく、海外で営業秘密が使用され、大々的に製品が生産されてしまえば、損害も大きくなりますから、罰金も大きくなりますね。

不正競争防止法の条文は複雑なので、なかなか分かりにくいですが、その内容を図で説明している、経済産業省の資料は、比較的理解しやすいと思います。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/1706tradesec.pdf

p.9に「海外重罰のパターン(21条3項)」の説明図があります。

このように、不正競争防止法で守られる、設計図などの技術ノウハウ等が「営業秘密」として認められるためには、下記の3つの要件が満たされる必要があります。
・秘密管理性
・有用性
・非公知性

どのような情報を「営業秘密」とし、3要件を満たす仕組みを作り、実践していくのかは、自社の大切な知的財産を守っていく上で重要ですから、後回しにせず、タイミングよく考えていく必要があると思います。

さわべ特許事務所
http://sawabe-pat.com/

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