ADR(裁判外紛争解決)をご存知ですか? – 弁理士さわべゆみこブログ – さわべ特許事務所

自社独自技術を特許出願し、相当の時間と費用を掛けて特許権を取得したあとに、その特許発明を他社が実施している事実を発見したとき、その実施をやめさせたい場合は、まず警告状等を郵送することが多いと思います。

警告状を送ることによって他社が特許発明の実施を中止してくれればよいのですが、他社が特許権を侵害していると認めないとき、どうやって他社の実施をやめさせることができるでしょうか?
まず思いつくのは、他社に対し特許発明の実施の差止や損害賠償を請求する「裁判」を提起することだと思います。

しかし権利者にとっても「裁判」は、検討や準備をする多大な時間や費用を考えると負担が重く、なかなか簡単に「裁判だ!」と決断できないところもあります。
したがって、警告してもその後の裁判を考えると、警告自体を躊躇してしまうことも多いのではないかと思います。

ここで、「裁判」以外に、知財仲裁センターに調停や仲裁を求めることによって当事者間の紛争を解決することができることを是非知っていただきたいと思います。

日本知的財産仲裁センターのウェブページ
http://www.ip-adr.gr.jp

日本知的財産仲裁センターで行われる、調停や仲裁は、

(1) 秘密裏に手続きが行われるので、第三者に知られない
(2) 知財の専門家(弁護士・弁理士)による中立・公正な紛争解決ができる
(3) 法律論にとらわれずビジネスベースの解決が可能である

という特徴があります。

日本知的財産仲裁センターでの調停や仲裁の手続きは、当事者同士の合意によって手続きを開始し、裁判と異なり柔軟に進行することができます。
また、当事者間のビジネスでwin-winの関係を構築できる可能性もあり、権利者企業(特に中小企業)にとっては、権利を有効に活用するための手段の1つとして考えることができそうです。

「裁判」だけではない、このような紛争を解決する手段を知っていただくことによって、自社権利の活用の幅を広げることにもなるのではないでしょうか。

さわべ特許事務所
http://sawabe-pat.com/

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