WHO:新型コロナワクチン米国の特許権除外支持を称賛

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、米国の新型コロナウイルスワクチン特許権の適用除外支持を称賛したと記事が伝えています。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/210506/mcb2105060916011-n1.htm

新型コロナウイルスワクチン特許権については、さまざまな意見が報道されています。

新型コロナウイルスワクチン特許権除外に、ドイツは反対、フランスも疑問
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/210507/mcb2105070819013-n1.htm

日本製薬工業協会も反対
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC077QR0X00C21A5000000/

特許権は、このような事態において医薬品の普及を阻害するものなのでしょうか。

記事にも記載されていますが、医薬品の量産には、十分な設備、生産技術、人材を確保する必要があるため、特許権を保有している企業のみが生産することによって、特許発明が想定している品質を保持できるという側面があると思います。

特許権を無条件に解放するのではなく、特許権が存在することによって、その品質をコントロールしたうえで供給を増加させるために、特許法では、強制実施権を規定しています(特許法第93条)。

この条文では、公共の利益のために必要であるときは、特許権者に通常実施権の許諾について協議を求めることができ、協議が成立しない、または、協議ができない場合は、経済産業大臣の裁定を請求することができるようになっています。

今回のような緊急を要する場合は、協議や裁定にスピードが求められると思いますが、特許権が存在することによって、一定の品質を保つ医薬品が供給される一助となり得るとも考えられます。

さわべ特許事務所
https://sawabe-pat.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です