「特許は、製品が完成してから考えればいい」
経営者の方からも、こうした声を聞くことがあります。
開発スピードが重視される今の環境では、
まずは市場に出すことを優先したい、という判断は自然です。
ただ、特許制度の考え方を少し整理してみると、
特許は「完成後」に考えるものとは限らない、ということが見えてきます。
特許で評価されるのは、完成した製品そのものよりも、
そこに至るまでに直面した課題と、その解決のしかたです。
この点を踏まえると、エンジニア主体の開発組織は、
構造的に見て、特許と相性の良い環境にあります。
■ 発明は「すごい技術」より「現場の工夫」から生まれる
特許というと、
「高度なアルゴリズム」
「最先端のAI技術」
といったものを想像しがちです。
しかし実務上は、もっと地に足のついた内容が多く登録されています。
- 処理を安定させるための構成の工夫
- エラーを減らすために決めた処理の順番
- 運用負荷を下げるための仕組み
- 現場で“これが一番マシだった”という選択
こうした日常的な改善の積み重ねが、
特許として評価されることは珍しくありません。
エンジニア主体の組織では、
こうした工夫が日々生まれています。
問題は、それが発明として整理されないまま流れてしまうことです。
■ なぜ発明が「取りこぼされる」のか
エンジニア主体の組織ほど、
実は発明を取りこぼしやすい傾向があります。
理由は単純で、
- 改善のスピードが速い
- 変更が連続的に起こる
- 「動いたら次へ」が優先される
その結果、
「どこが大変だったのか」
「なぜこのやり方にしたのか」
といった判断の背景が、記録されないまま次に進んでしまいます。
経営視点で見ると、
せっかくの知的資産が、形にならずに消えている状態とも言えます。
■ 成功する組織がやっていること①
完成後ではなく、途中で話す
発明発掘がうまくいっている企業では、
特許の話を「完成後」に持ち出しません。
設計や方針を決める段階で、
「なぜこの構成にしたのか」
「他にどんな選択肢があったのか」
を、短時間でも共有します。
この時点で整理しておくと、
後から思い出して説明するよりも、
発明のポイントが明確になります。
■ 成功する組織がやっていること②
特別な“発明会議”を作らない
意外かもしれませんが、
発明発掘がうまくいく企業ほど、
「発明を出すための会議」は設けていません。
代わりに使っているのが、
- 開発が一区切りついたあとに
「今回、正直どこが大変だった?」と話す時間
- トラブル対応のあとに
「結局、何が原因だったのか」を整理する場
こうした通常業務の延長線上の会話です。
この中に、
競合との差を生む工夫や判断が、自然に含まれています。
■ 成功する組織がやっていること③
出す発明と出さない発明を分ける
すべてを特許にする必要はありません。
むしろ、強い企業ほど、
- 事業の中核になる技術は特許で押さえる
- 実装や運用に強く依存する部分は社内ノウハウとして管理する
- 短期間で陳腐化しそうなものは無理に出さない
といった整理をしています。
この判断を、
技術と特許の両方を理解している弁理士と一緒に行うことで、
コストと効果のバランスが取りやすくなります。
■ 特許は「守る」だけでなく「説明」にも使える
特許は、単に権利を守るためだけのものではありません。
- 取引先への技術説明
- 投資家への事業説明
- 採用時の技術力アピール
といった場面で、
「第三者から見て評価された技術」として機能します。
こうした使い方が定着すると、
開発組織の中でも、
「この工夫は特許になりますか?」
という相談が自然に出てくるようになります。
■ 弁理士の役割は「書類作成」だけではない
この文脈での弁理士の役割は、
単なる出願手続きの代行ではありません。
- 技術の価値を客観的に整理する
- 発明として成立するポイントを切り出す
- 出す・出さないの判断を一緒に行う
いわば、
技術と制度の間をつなぐ“翻訳役”です。
■ まとめ:発明は、すでに現場にある
エンジニア主体の開発組織には、
- 課題に向き合う文化があり
- 改善を積み重ねる習慣があり
- 発明の材料が日常的に生まれています
足りないのは、
それを経営資産として整理する視点だけです。
弁理士を「最後に呼ぶ存在」ではなく、
「途中で一緒に整理する存在」として関わらせることで、
開発組織の強みは、より明確な形になります。
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さわべ特許事務所
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