〜生成AIと著作権のいまをやさしく解説〜
はじめに
最近は、「AIがイラストを描いた!」「AIが歌を作った!」なんてニュースをよく見かけますよね。
実際に、ChatGPTや画像生成AI(Stable Diffusion、Canvaなど)を使って、仕事や趣味で作品を作っている方も多いと思います。
でも、こんな疑問が出てきませんか?
「このAIが作った作品って、著作権は誰のものになるの?」
「自分のホームページや商品に使ってもいいの?」
今日は、そんな“AI時代の著作権”を、やさしく整理してみましょう。
1. AIが作った作品に著作権はあるの?
結論から言うと、AIが自動で作ったものには、基本的に著作権は認められません。
著作権法では、「人間の創作」にだけ著作権が発生します。
つまり、AIが自分で考えて作ったイラストや文章は、「著作物」にはならないんです。
たとえば、
「AIに『猫の写真風イラストを作って』と指示しただけ」
このようなケースでは、あなた自身の創作性(どんな構図で、どんな表情で、どんな雰囲気にしたいか)がほとんど入っていないので、著作権は発生しないと考えられます。
2. じゃあ、どんな場合なら“人の作品”になるの?
ポイントは、「どこまで人が関わったか」です。
文化庁の見解によると、AIを「道具」として使いながら、
人が構図・色・構成・セリフなどを工夫していれば、その部分には著作権が認められます。
たとえば:
| ケース | 著作権の扱い |
| 「犬の画像を生成して」と一言でAIに任せた | ✕ 人の創作性なし |
| 何度も生成結果を調整し、構図や色味を細かく指定した | ◯ 人の創作性あり |
| AIで下書きを作って、自分で仕上げた | ◯ 加工部分に著作権あり |
要するに、
AIを「作品づくりの相棒」として使うのはOKですが、
AIを「完全におまかせ」にすると、人の著作権は発生しにくくなる、ということですね。
3. 「著作権がない」作品を使うときの注意点
著作権がないAI作品は「自由に使える」と思われがちですが、実はちょっと注意が必要です。
(1)学習元の著作物に似ている場合がある
AIは、インターネット上の画像や文章を大量に学習しています。
そのため、似たような表現や構図が出てしまうことがあります。
この場合、他人の著作権を侵害するリスクがゼロではありません。
(2)ツールごとの利用規約に要注意
ChatGPT、Canva、Midjourneyなど、生成AIごとに商用利用や再配布のルールが違います。
たとえば「有料プランなら公開OK」「無料プランは商用不可」など、細かく条件があります。
制作物を公開・販売する前に、必ずチェックしましょう。
(3)肖像権や商標権も関係する
著作権以外にも、肖像権・商標権・パブリシティ権といった権利が関係します。
たとえば、実在の芸能人やブランド風のAI画像を使うと、思わぬトラブルになることも。
4. 実務で気をつけたい3つのポイント
1️⃣ プロンプト(指示内容)を残しておく
どこまで人が工夫したか、後で説明できるように記録しておくのがおすすめです。
2️⃣ 利用規約を確認する
「商用利用OK」と明記されているかを必ず確認しましょう。
3️⃣ 社内ガイドラインを作る
AI生成物を使うときの社内ルールを決めておくと、安全に活用できます。
まとめ
AIが作る時代になり、
「誰が作った作品なのか」「どこからが人の創作なのか」
という線引きがとても大切になってきました。
AIを上手に“道具”として使いながら、
人の創造力をどう活かすかが、これからのクリエイティブに求められる姿勢です。
さわべ特許事務所
コメントを残す