AI:第2回:AIシステムの特許出願で注意すべき3つのポイント

こんにちは!

今回は、IT企業の皆さんからよく相談を受けるテーマ、

「AIシステムを特許で守りたい!」についてお話しします。

最近は「AIを使ったプロダクト」を開発している企業が本当に増えました。

でも、「AIを使ってます!」だけでは特許にならないことが多いんです。

「せっかくの技術が“特許にならなかった”…」という残念なケースを防ぐために、

AI関連で出願する時に絶対押さえておきたい3つのポイントを紹介します。


👉ポイント①:「AIそのもの」より「AIの使い方」を守る

AIって、それ自体は「学習する仕組み」や「ニューラルネットの構造」などの

一般的な技術の集合体なんですよね。

なので、「AIを使って○○する」と言うだけでは、

他社との差が出ず、特許としては弱くなってしまいます。

特許として認められやすいのは、

「AIをどう活用するか」という具体的な応用方法の部分です。

たとえば:

  • 画像認識AIで工場の異常をリアルタイム検出する仕組み
  • 生成AIで文章のトーンを自動調整する機能
  • ユーザの行動ログをAIが学習し、次の操作を予測するUI制御

つまり、「AIを使った」というよりも、

AIをこう使うと、従来よりここが便利・正確・高速になった

という部分をしっかり説明するのがポイントです。


👉ポイント②:「学習データ」や「評価プロセス」をきちんと説明

AIの特許でよく見落とされるのが、

「どんなデータでAIが動いているか」という部分です。

AIの“頭の中”がブラックボックスすぎると、

「その技術が本当に効果を生むの?」と疑われてしまいます。

たとえば:

  • どんなデータを学習に使ったのか?
  • どうやってモデルを評価しているのか?
  • 学習結果をどのように業務に活かしているのか?

これらを「技術的な流れ」として書くことで、

「このAIの使い方には技術的な工夫がありますよ」とアピールできます。

📌 補足:

「精度が高い」「便利」といった感覚的な表現だけだと、

特許庁では“技術的な発明”とみなされないことがあるので注意!


👉ポイント③:「AIが実際に“技術的効果”を出している」ことを示す

特許で最も大事なのは、“技術的な効果(テクニカルな結果)”があるかどうか。

つまり、「AIを導入したことで何がどう改善されたか」が明確であること。

例えば:

  • コールセンターでAIによる入電数の予測精度向上により適切な人員配置が可能となり、15%以上の工数削減を達成した
  • AIアシスタントによる社内問合せやレポート作成の自動化で、日常業務の効率化と従業員の生産性向上に寄与した
  • 建設会社が画像認識AIによる施工状況判断を行い、検査作業時間を10分の1に短縮した

こうした定量的な効果を示せると、特許としての説得力が一気に上がります。

AIシステムでは、「単にAIを使った」だけでなく、

「AIによってシステムがどう進化したか」を具体的に書くのがコツです。


👉まとめ:AI特許は“技術の工夫”を言語化できるかが勝負!

AI技術の出願は、

「AIを使ってます」ではなく「AIで何を、どう変えたか」が重要です。

チェック項目内容
✅ 使い方の工夫AIの活用方法が独自か?
✅ データの説明どんな情報を使って、どう学習・評価しているか?
✅ 技術的効果処理時間・精度・操作性など、具体的に改善しているか?

これら3つを明確にできれば、

「ただのAIシステム」ではなく、「技術的な発明」として認められる可能性が高まります。

さわべ特許事務所 

https://sawabe-pat.com


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