第4回:商標の落とし穴 – 登録したのに使えないケースとは?

「やった!商標登録できた!これで安心♪」…ちょっと待ってください。実は、商標登録=100%安全ではないんです。

今回は、登録後に起こりうる「まさか」の落とし穴をご紹介します。


登録=安心ではない理由

商標登録は「指定した商品・サービスでの独占権」をもらうこと。でも、世の中にはたくさんの権利やルールが絡み合っています。

例えば:

  • 著作権
  • 意匠権
  • 有名な商標に類似
  • 不使用取消審判

特許庁が「商標としてOK」と判断してくれても、他の権利との関係や実際の使用状況まではチェックしてくれません。つまり、登録後に「実は使えませんでした」となる可能性もあるんです。


他人の権利や使用状況との衝突例

ケース1:キャラクターデザインの著作権でもめる

「ひこにゃん」の商標権者である彦根市と、著作人格権を持つ原作者が「ひこにゃん」をアレンジする権利を巡って対立。訴訟に発展し、大きく報道されました。

ケース2:有名ブランドに似すぎた

「PUMA+図形」に似た「KUMA+図形」の商標は、一旦登録されたものの、PUMAの商標権者から無効審判を請求され、権利が消滅。

ケース3:登録したのに使っていなかった

商標は「使うこと」が前提の権利。登録後3年以上使っていないと、第三者から「不使用取消審判」を請求され、登録が取り消されることがあります。せっかく取った商標も、使わなければ意味がないのです。


海外展開を考えるなら特に注意!

日本で商標登録しても、海外では別の話。国ごとに商標制度が違い、権利を取得する必要があるので、思わぬトラブルに巻き込まれることも。

よくある海外トラブル:

  • 現地で既に同じ名前が登録済み
  • 現地の言葉で変な意味になってしまう
  • 宗教的・文化的にNGな表現だった

特にアジア圏では、日本のブランド名を先回りして登録する「商標ブローカー」も存在します。海外展開の可能性があるなら、主要国での商標調査も考えておきたいですね。


リスクを最小限にする方法

事前調査をしっかりと

  • 類似商標の検索
  • 有名ブランドとの比較
  • ネット検索で同じ名前の使用状況をチェック

登録後の管理も重要

  • 実際に商標を使う
  • 使用証拠を残しておく(広告、パッケージ、販売記録など)

専門家に相談

  • 弁理士への相談

それでも商標登録は必要!

商標登録後にもリスクはありますが、これらは「知っておくべきリスク」であって、「商標登録するな」ということではありません。

むしろ、商標登録していない方がリスクは圧倒的に高いのです。事前調査・適切な使用・ちょっとした注意で避けられる問題がほとんど。

要は「備えあれば憂いなし」。きちんと準備して、安心してビジネスに専念しましょう!

さわべ特許事務所 

https://sawabe-pat.com


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