マネーフォワードとfreeeの侵害訴訟:マネーフォワード勝訴 – 弁理士さわべゆみこブログ – さわべ特許事務所

昨年末、本ブログでも記事にしました、freeeがマネーフォワードを訴えた侵害訴訟の判決がでました。
freeeの主張は、認められず、マネーフォワードの勝訴という結果になりました。

特許権侵害訴訟:フリーvsマネーフォワード(昨年の記事)
http://47923497.at.webry.info/201612/article_2.html

マネーフォワード側の今回の結果についてのコメント
https://japan.cnet.com/article/35104879/

freee側の今回の結果についてのコメント
https://japan.cnet.com/article/35104918/

今回の侵害訴訟の裁判所の判断は、既に公開されていました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/011/087011_hanrei.pdf

内容を見てみると、freeeの特許第5503795号の発明のポイントは、
「「取引内容の記載に複数のキーワードが含まれる場合には, キーワードの優先ルールを適用して,優先順位の最も高いキーワード1つを選び出し,それにより取引内容の記載に含まれうるキーワードについて対応する勘定科目を対応づけた対応テーブル(対応表のデータ)を参照することにより,特定の勘定科目を選択する」という構成」であるとされ、

一方、マネーフォワードが実施している技術は、
「いわゆる機械学習を利用して生成されたアルゴリズムを適用して,入力された取引内容に対応する勘定科目を推測していることが窺われる。
なぜならば,被告方法において,仮に,取引内容の記載に含まれうるキーワードについて対応する勘定科目を対応づけた対応テーブル(対応表のデータ)を参照しているのであれば,複合語を入力した場合に出力される勘定科目の推定結果が組み合わせ前の語による推定結果のいずれとも合致しないことや,摘要の入力が同一なのに出金額やサービスカテゴリーを変更すると異なる勘定科目の推定結果が出力されることが生じるとは考えにくいし,通常の日本語には存在しない語をキーワードとする対応テーブル(対応表のデータ)が予め作成されているとは考えにくいからそのような語に対して何らかの勘定科目の推定結果が出力されることも不合理だからである。」
と判断され、freeeの特許権は侵害していないと判断されたようです。

ソフトウェアは、内部でどのような処理が実行されているかを外から判断することは難しく、今回の場合も原告側はさまざまなデータを入力し内部処理を推測したうえで、訴訟に進んだものと思われますが、その推測が実際の処理とは異なっていたようです。

今回の訴訟の過程で、マネーフォワード側の内部処理がある程度明らかになったので、freee側は、機械学習を利用するといわれているもう1つの特許権での権利行使をするのかどうかが注目されます。

さわべ特許事務所
http://sawabe-pat.com/

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